井田黎さんインタビュー −前編−「試合で勝って、強い先生でいたかった。」

Yoshi

こんにちは、Yoshiです!

当ブログのコンセプトでもある 、“柔術と旅する”人に焦点を当てる取材企画・柔術旅人インタビュー。

第三回目は、昨年世界大会に挑戦後、クラウドファンディングで集めた資金でブラジルに渡り3ヶ月の柔術修行を敢行された井田黎さん@reijiujitsu0411)にお話をうかがいました。

今でこそ知らない人はいないほど全国的な活躍をされている井田さんですが、柔術を始めた4年前は週1,2回の練習に満足していた普通の一般会員だったそう。

それがインストラクターになって、世界大会に挑戦し、単身でブラジル修行に赴き、帰国後毎月のように大会に出て成績を残しながら自分の道場を出す準備をしているなんて、ご自身でも想像しなかったそうです。

取材をする中で、井田さんの行動力には何度も驚かされました!

全三編、今回は井田さんの今に至るまでの経歴についてうかがった[前編]です。ぜひ最後までご覧ください。

井田黎さんのプロフィール

柔術旅人:井田 黎

出身

大阪府

仕事

インパクト藤井寺 ヘッドインストラクター

所属

インパクト藤井寺

帯色

茶帯

柔術歴

4年

主な戦績

第24回全日本ブラジリアン柔術選手権
アダルト紫帯ライトフェザー級 準優勝
第23回回全日本ブラジリアン柔術選手権
アダルト青帯フェザー級 優勝

スポーツ歴

柔道

SNSアカウント

Instagram

柔術を始めて
良かったこと

試合に勝つために普段の生活から気をつけるようになり、健康的な生活を送れるようになったこと。

※2024年4月現在

目次

柔術を始めたきっかけ

家族にだまされた?気づけば道場に…

まずは柔術を始めたきっかけを教えてください。

元々7、8歳くらいの頃から大学に入るまで、やからちょうど 10 年ぐらい柔道をやっていたんですよ。大学でも柔道やろうかなと思っていたんですけど、その頃コロナがあったんですよね。それも一番ひどい時期だったから、部活入っても何もできんし、そもそもまず学校にも行けなかったんですよ。それでやることもないしどうしようかなと思っていたときに、家族に道場に連れていかれたので、「体力キープしたいしやろかな。」みたいな軽い気持ちで始めました。だから最初は強くなりたいとかは全く思ってなかったです。

元々ご両親がされていて、誘われて始めたというのはYouTubeに上がっていたインタビュー動画で拝見しました。

そうです。でも初めて道場に行ったときは半分だまされて行ったみたいな感じで、ある日、何かで出かけるとなって、それで到着してみたらなんかブラジル人がおって、みたいな(笑)それで道衣着せられて、始めるぞって。今は違うんですけど、インパクトって前は初めて来た人は絶対プライベートレッスンするようになっていたんですよ。いきなりグループレッスンに入らずまずは一対一で。

よくわからないところに連れていかれていきなり知らないブラジル人と一対一でレッスン…。最初のレッスンはどうでしたか?

いやめっちゃ怖かったです。ブラジル人を見たのも初めてだったので。怖いイメージあるじゃないですか、なんか。でもレッスンしてくれたのが(現UJCヘッドインストラクターの)チアゴ先生だったので、まだそんな怖い顔じゃなかったからよかったです(笑)それで、まず裸絞めで絞めてください。という風に急に言われて、で絞めて、でも極まらなくて、で逆に絞められて極まって、でその違いを教えてもらって、みたいな感じでした。

本当にプライベートレッスン形式だったんですね。

そうです。スパーリングとか別にそのクラスでやったわけでもなくて、普通にそんな感じで、柔術はこんな細かいテクニックがあるよみたいな。本当に柔術の説明というか、これが柔術だよって教える時間みたいな感じでした。

そこでハマってしまったと。

いや、そのときはまだ全然ピンと来てなかったですね(笑)。話を聞いて、そうなんですねーみたいな感じでした。

体を動かしたいだけのフィットネス会員

そこから通うことにしたのには、最初に言っていたようにコロナの影響があるわけですね。

そうですね、柔道もできず学校にも行けなかったので、本当に体動かしたいなーという感じで。でも週1、2回やったんで、ちょっと遊びに行っていたくらいの感覚でした。

そこからブラジリアン柔術にハマったきっかけはなんだったのでしょうか?

UJCができたのがきっかけかもしれないですね。入会して半年くらい経ったとき、まだ白帯のストライプ2本だったんですけど、チアゴ先生にインストラクターに誘われて。それでインストラクターやるってなったんで、いっぱい勉強しなあかんなと思って勉強し始めて、勉強する過程で好きな柔術の先生とかもできていって、それで徐々に好きになっていったんかなと思います。週1、2回のときは全然強くなろうとかなかったですし、技も自分で研究したりしていなかったので。クラスで習った技見てふーんって感じでやってただけでした(笑)

では最初は選手というより本当に一般会員という感じだったんですね。

そうですね。

今選手として活躍している人が最初はそこまで真剣ではなかったのはおもしろいですね。週1、2回の練習で白帯ストライプ2本の自分がインストラクターとして誘われるとは思っていなかったのではないでしょうか?

そうですね、なんで声かけられたんかもそのときはわからなかったですね。僕よりがんばっている人はいっぱいいましたし、若い人もいたし。でもあとで聞いたらなんか優しそうで真面目そうだからっていう理由だったみたいです(笑)それで僕も本当にただの軽いバイト感覚で、スポーツやりながらそれでお金もらえるんやからいっかって感じでやりますって言って。

では本当に大学生のバイト感覚だったわけですね(笑)

そうです(笑)でも教えるんだから勉強しなあかんなぁってことで勉強し始めて、どんどんハマっていった感じです。

白帯にしてUJCインストラクターに

柔術で生きると決め大学を中退

UJCインストラクターになって、学生しながらアルバイトとしてインストラクターをやる日々が始まったわけですね。

そうですね、インストラクターになった時点でまだ白帯だったので、最初は受けをしたりとか、キッズクラスを教えたりとか。キッズクラスは先生2、3人体制だったので、それに交じって。でもUJCでインストラクターになってからすぐ青帯にはなれましたね。

コロナの影響でほぼ学校にも行ってなかったので、練習も毎日できて。ほんである程度こう、インストラクターでお金が稼げるようになってきて、たぶん大学1年の後期になる前ぐらいに大学やめましたね。なので学生生活は1年もしてないです。柔術で生きていくって決めて。

スピード感がすごいですね(笑)最初は週1、2会員だったのが1年も経たないうちにインストラクターになって大学をやめて専業になったと。

そうですね、でもやっぱりコロナの影響が大きいかもしれないです。なんか大学の楽しさが何もなかったんで。だから、前期と後期でお金を払う時期が分かれていたんで、大学で何もやっていないのに後期になったらまたお金払うんかと思って。それは(親に)申し訳ないなと思って。それやったらやめようと思って、後期に入る前に大学やめて柔術にしぼることにしました。

ちなみにインストラクターだけで充分に生活はできたのでしょうか?

最初は難しかったですね。どうしてもクラスだけじゃ、あんまり。毎日クラスやっていたんですけどそれでも難しくて、でも試合に出て勝ったりとかするたびにプライベートレッスンが増え出したんですよ。それがやっぱり大きかったですね。だからUJCにいた頃の後半は本当にプライベートレッスンばっかりやっていて、クラスはほんまに週にちょっとだけ。それでもまぁ普通に生活していけるくらいにはなっていましたね。

クラスをもっとやるようには言われなかったのでしょうか?

他にもインストラクターがめっちゃいたんですよ。僕が全部やってたらその人たちができないんで、クラスの担当を渡してたってのはありました。

UJCと言ったらチアゴ先生と井田さんだけがインストラクターというイメージでした。

めっちゃいますよ。みんな仕事しながらやってくれてましたね。

強い先生であるために試合に出続ける

青帯初試合となった西日本柔術選手権(2021)
Ground Impact 2021West

専業インストラクターとなったからか、特にUJCに移ってからは積極的に大会に参加されていたように思います。

関西でやるやつにはちょくちょく出ていましたね。それでも青の時はだいぶ少なかった気がします。3ヶ月に1回とか、大阪の大会にちょこちょこ出ていただけでした。最近は月一は出ているんですけどね。

個人的には2年ほど前に全日本ノーギに出ていたのが驚きでした。ノーギのイメージがなかったので。

あれはだまされたんですよ、先生に(笑)ちょうどIBJJFでもヒールフックが解禁された年だったから、当時めっちゃヒールフック練習してたんですよ。だから「出場したら黒帯でも絶対極められるよ!」って言われて、それで行ったらやっぱりめちゃくちゃ強かったんですよ、みんな。さすがに勝てるわけなかったです…。それでノーギがちょっと嫌いになって、ノーギの試合はあんまり出なくなりました(笑)

あれがノーギの試合に出ない一因になっていたとは(笑)その後、海外渡航前まで関東の大会にも積極的に出られていた印象があります。

そうですねまぁ、試合で勝って、何でしょう、僕は強い先生でおりたいなっていうのもあったんで、だから試合いっぱい出て行かなあかんなと思って。

大会に出続け、2022年全日本ブラジリアン柔術選手権を青帯フェザー級で優勝。紫帯に。

紫帯では負けも経験。

そんな気持ちを持って試合に臨まれていたのですね。特に海外渡航の直前、関東〜関西の大会に連続参戦し強豪選手を倒して連続優勝する姿はとても印象的でした。あれは世界大会を意識してのことだったのでしょうか?

途中からはそれもちょっとありましたね。ちょうどあの頃にヨーロピアンがあったので試合見てたんですけど、決勝見て、あれ? なんかいけんじゃね?って思って。それで3月のパンアメリカンの試合も見たんですけど、あ、やっぱりいけそう。ってなって。でパン終わったときに、ヨーロピアンとパンを優勝した人が茶帯になったんですよ。でこれはチャンスかもと思って、世界大会に出ようと決めました。

修斗杯柔術選手権2023 横浜
修斗杯柔術選手権2023 大阪
西日本柔術選手権
KANSAI INTERNATIONAL JIU JITSU CHAMPIONSHIP 2023

連続参戦で並みいる強豪に打ち勝ち優勝を重ねる。

がむしゃらに挑んでやろう!ではなくて今がタイトルを取れるチャンスだと見越した上での世界大会挑戦だったわけですね。

そうですね。もちろん自分が世界でどれくらいの位置におるのか体感してみたいという気持ちもあって。で、世界大会でアメリカに行くから、せっかくやからついでにブラジルにも修行に行ってみようかな?と思ってブラジル修行も決めました。

世界大会挑戦が先で、そのついでの修行だったと。そしてそのためにクラウドファンディングを始めたわけですね。

お金は貯めてて、世界大会にいけるお金は充分にあったんですけど、ブラジルへ滞在する分はなかったんですよ。だから最初は一週間ぐらいの滞在にしようかなと思っていて。でもジムのみんなに話したら、せっかく行くんやったら長くおった方がいいからって言われて。それでクラウドファンディング使ってみたらってチアゴ先生がアドバイスくれたので、利用した感じです。

中部柔術選手権。世界大会前、最後の対戦相手として、
選ばれたのは楢山でした。(たまたまです。)

あとはそれまでフェザーで出てたんですけど、世界大会はライトフェザーで出ることにしたので、渡航前の最後の大会だった中部柔術選手権もライトフェザーで出ることにしました。本当は階級別だけ出るつもりだったんですけど、クラウドファンディングも始めたので、良い印象を作っておこうかなと思いオープンクラスにも出ることにして。

ちょうど一年前のことですね。懐かしいです。そのオープンクラスではしっかり階級が上の選手に打ち勝って優勝。そこでチャレンジできるところがさすがだなとしか思えません。

ありがとうございます。2試合だけでしたけどね。勝ててよかったです。

クラウドファンディングは見事目標達成。

世界大会と海外修行の旅を経て、現在

帰国後は全日本、アブダビグランドスラム、KIT8、その他地方大会へ連続参戦。さらにその名を知らしめる。

その後貯めたお金と集めたお金で世界大会挑戦、ブラジル修行を経て、今に至るわけですね。

はい。世界大会では表彰台に乗ることはできませんでしたが、その後ブラジルに渡り、そこでお世話になった道場がめっちゃ良くてとても刺激的な日々を送ることができました。そして、こんな道場を日本でやりたい。そう思いました。それで今は新しい道場を出す準備をしているところです。

道場を出すというのはいつ頃決めたのでしょうか?

ブラジルから日本に帰ってきた時点ではもう決めていましたね。あとはいつ出すかというところだったんですけど、早くやろ!もうやる!って思って。それで今年中には出すって決めました。

相変わらずのスピード感ですね(笑)オープンはいつ頃になるのでしょうか?

今年の8月を予定しています。先日大阪の藤井寺市にテナントを見つけて契約したので、今は内装工事中です。あと資金を集めるためのクラウドファンディングも実施しています。

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ではあと4ヶ月というところですね。オープンが楽しみです!

ありがとうございます。オープンしたら是非お来しください!


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この記事を書いた人

Yoshiのアバター Yoshi 筆者

ブラジリアン柔術歴6年。現在紫帯。
21歳のときに地元福井でブラジリアン柔術を始める。その後は国内外を転々とする中で各地のジムに所属し大会に出場。現在は東京を拠点に日本各地に赴き大会出場及び出稽古を重ねる。

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