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坂野開さんインタビュー −後編−「行きたいならすぐに行け。行ってからどうするかが大事。」

Yoshi

こんにちは、Yoshiです!

当ブログのコンセプトでもある 、“柔術と旅する”人に焦点を当てる取材企画・柔術旅人インタビュー。

記念すべき一回目は、タイ、ブラジル、アメリカと渡り歩き、各地で柔術に励んできたトライフォース東中野の坂野開さん@ikanokasa)にお話をうかがいました。

仕事に追われる生活から抜け出して海外へ飛び出し、“柔術”“旅”を通して各国の文化や生活観の違いを肌で感じてきた坂野さんですが、恵まれた日本とは違った過酷な環境の中では柔術以外の部分でも得られるものが多かったそうです。

全三編、今回は訪れた3カ国での生活を振り返った上で、各国と日本との比較をしていただいた[後編]です。ぜひ最後までご覧ください。

坂野開さんのプロフィール

柔術旅人:坂野 開

出身

神奈川県

仕事

トライフォース東中野スタッフ

趣味

柔術

所属

トライフォース東中野

帯色

紫帯

柔術歴

6年

主な戦績

SJJJF第3回全日本柔術選手権
Male Blue Adult Open Light 優勝UNRIVALED ALTANA 勝利

スポーツ歴

サッカー

SNSアカウント

XInstagram

柔術を始めて
嬉しかった出来事

試合で始めて勝ったとき

※2023年10月現在

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目次

3カ国を渡り感じた日本との違いと“JJJ”

レスリングからの転向者も多いというアメリカ、デイジーフレッシュ

ブラジル、アメリカとの比較

ここまでは各国での生活や練習内容について聞いてきました。その中で一番印象が強いのはやはりデイジーフレッシュでしょうか?

えー、、、いやぁどこも練習超つらかったし、、、甲乙つけがたいですね。ただ私生活が一番楽だったのはタイです。観光地で、物価も安かったし。その次がブラジルかな。日本語を話せるミヤシタさんがいて面倒見てくれたから。アメリカは日本語話せる人もいないし、なんせマイナス15℃とかでめちゃくちゃ寒くて、暖房もない中ジムで寝ていたんで、練習以外はずっとこごえていましたね。二ヶ月くらい。だから本当に辛かった、私生活が。ハードでしたね。

なるほど、では続いて海外と日本を比較して感じたことはありますか?

行って思ったのは、海外の人はオンオフがうまい。ブラジル人は土日、特に日曜はもうやらねーよみたいな。アメリカは強度上げるときはしっかり上げて、低いときはちゃんと低くて、高い低い高い低いでしっかり日によって練習強度に差をつけていましたね。

たしかにデイジーフレッシュの昼の練習は月水レスリング、火木ドリルとしっかりやることを分けていましたね。

そう、とにかく切り替えがうまくて。休む休まないが。ダラダラ練習もしないし、やめるときはパッと切り上げて止める感じで。ブラジル人も同じ感じで、逆に日本人がやりすぎな感じがしましたね。なので日本人はそこら辺の調整がうまくないのかなって感じました。あっちの人は終わったらもう、よし、みんなで飯行こーぜ!なんで。特にデイジーフレッシュはすごいチーム感があったので、終わったあとは毎回円陣組んで終了みたいな感じでした。

そこから残ってドリルなどをする人はいなかったのでしょうか?

デイジーフレッシュで言うと、練習が終わってからは筋トレする派、ストレッチする派、さっさと帰る派って感じで分かれましたね。他のジムでもドリルする人はいませんでした。クラス前にはいましたけどね。とにかく練習が終わってからやる人はいませんでした。

そこが日本と違う気がしますね。日本は終わってからがんばる人も多い気がします。生活面の違いもあるかとは思いますが。

そうですね、確かに。

そもそもデイジーフレッシュはドリルだけの時間が設けられていたんですよね。日本ではあまりないように思います。

そうなんですよ、そういう風にやりたいなとは思っていて、トライフォース東中野でできたらな、なんて思ってはいますね。決まっているわけじゃないですけど。

実際に経験してて重要性を感じられている坂野さんならではの考えですね。ちなみに話を聞いていてクラス中にドリルをしているジムが多い印象でしたが、これはどの国、どのジムでもそうだったのでしょうか?

いや、アメリカのジムだけでしたね。ブラジルのジムのクラスは日本と一緒で、テクニックを教えてもらってあとはスパーみたいな。ちなみにシチュエーションスパーをやるのもアメリカのジムだけでしたね。

それを考えたら日本のジムのクラス様式も多様化してはいますが、根本的にはブラジルのジムの影響が大きいのかもしれないですね。

そうですね、というかいや、逆かもしれないですよね。日本の影響が強いからブラジルがそうなっているのかも。元をたどれば柔道じゃないですか。柔道の練習って基本的には乱取りがメインだから、その流れを組んでいるのかもしれないですね。それに対してアメリカはレスリングの練習文化があるからドリルを重視しているのかもしれないです。レスリングはドリルめっちゃやるから。

なるほど、バックグラウンドが違うんですね、ある意味歴史的な話になりますが。

そうだと思います。ただ実力的なところで言えば、アメリカはこいつレスリングやっていたんだろうなという人がいても柔術のテクニックはなかったりしたから全然戦えました。体重80kgとかの人でも。だから一般会員は全然ブラジルの方が強かったですし、総合的にブラジルの方がレベルが高かったですね。

ブラジルはまさに魔窟ということですね。

本当に。アメリカは日本とさほど変わりませんでしたね、一般層は。ただ、体がでかい(笑)。アメリカはでかくて、ブラジルはでかくて強い、って感じでしたね。

3カ国での修行を経て見えた“Japanese Jiu Jitsu”の姿

他に感じたことはありますか?

あとは、アメリカはカレッジとか高校でレスリングやっていた人たちが柔術に流れてきていて、自分たちで“AJJ”って言っているくらい、スタイル的に確立されているなっていう感じがしましたね。ブラジルの柔術とアメリカの柔術は違うものだなと感じました。どこで思ったかと言えば、まずは「テンポ」ですね。早いなと。レスリングのテンポでしかけてくるから。感覚的にですけどそんな気がしましたね。それが“BJJ”“AJJ”の違いなんじゃないかなと思います。

で、そうなるとじゃあ日本の柔術、“JJJ”はなんなんだろうなと。考えていたんですけど、それについては実はついこのまえ行き着いたんですよ。そのスタイルで戦っている人が実は身近にいたんですよね。

え、誰ですか?

(同じトライフォースの)鈴木さんです。あの人柔道テクニックめっちゃ使っているじゃないですか。あれをやってくる選手は(3ヵ国渡り歩いても)いなかったですね。だから、日本の柔術ってこれだなと思いましたね。

まさしくジャパニーズ柔術と。

そう、だから(オリジナルの)柔術。(笑)

なるほど、一周回ってオリジナルの柔術に戻ってきたということですね。

そう。あ、これだろうなって思いましたね、スパーとかやっていても思うんですけど。この前のアジア選手権で石黒選手をふっとばしたあのスイープもそうだし、ファイヤーマンキャリーみたいに入るやつとか、いろいろそれを感じられる技はあるんですよね。レッスルアップとかディフェンスしたら大腰みたいに投げるんですよ。だから柔道投げになるんですよね。そういうのを見ていて、「あ、これが“JJJ”なんだな」と思いました。

アジア選手権で石黒選手を返したスイープ

だから、「鈴木さん、これが“JJJ”だ!って名乗っておいた方がいいですよ。」って言っておきました。

あ、本人に言ったんですね(笑)

「あ〜、まぁ確かにねぇ〜。」って、そんな感じでしたけど(笑)

でも確かに柔道も世界各地の組技格闘技と融合して独自の発展をしたりしています。先ほど言っていた“AJJ”と同じように。それと同じ現象が柔術にも起きるのは不思議なことではないかもしれませんね。当然日本でも。

そう、そうなるとやっぱり柔道、高専柔道、ブラジリアン柔術を組み合わせたものが日本の柔術だと思うんですよね。鈴木さんがやっているように、パスで言えばオーバーアンダー、ダブルアンダーのプレッシャーパス。ボトムからの攻めに対しては上体を起こして柔道みたいな立ち方でディフェンスをしていき、逆にボトムに関しては下がってきた相手に対して柔道の投げのように一気に下に入っていってふっ飛ばす。みたいな。

そうですね、最近ではグラップリングの岩本選手も足払いなど柔道技の練習をしていたのが印象深いです。

そうそう、結局“日本の柔術”となったらそこに行きつくんじゃないかなと。そこに行き着けば、海外の選手はなかなか対応できないと思います。やってきていないから。少なくとも自分は海外であのスタイルを見てきませんでした。まぁちょっとしか見てきてないけれど。でもいろいろ見てきた中でそれは思いましたね。各地を渡り歩き、本場ブラジルのBJJ、レスリング大国アメリカのAJJを見てきて、ではJJJはなんだとなったときに、案外すぐ隣にいたという感じですね。

それは確かに実際海外各地で練習をしてきたからこその視点ですね。海外を渡り歩き、トライフォースに落ち着いた坂野さんだからこその気づきであるように思います。

そうですね、まぁ完全に自分の主観ですけど、もう言ったもん勝ちだと思っているのでここで言っちゃおうと思って(笑)だって“AJJ”も最初はキーナン・コーネリアスが言って広まったじゃないですか。今ではもう当たり前になっているけど。

ではしっかり書き残しておきます(笑)。

いいですよ全然(笑)

訪れた3カ国の生活を振り返って

費用面と言語について

では続いて柔術以外の面でいくつかお聞きしたいと思います。まず、旅には充分な旅費の準備が必要かと思われますが、そういった費用面の事情はどうだったのでしょうか?

僕の場合社会に出て4年間はめちゃくちゃ働いていたので貯金はあったんですよ。給料とは別に出張費が出ていたんで、一ヶ月それだけで暮らしてあと給料はそのままお小遣いって感じでした。で、仕事も忙しくて友だちと遊びにいくようなこともしなかったので、貯まりに貯まって300万くらいはあったんじゃないですかね、気づいたら全部なくなっていましたけど(笑)

なるほど、充分な蓄えがあったわけですね。では続いて可能な範囲で内訳を教えてください。

タイが飛行機、ジム代全部含めて一ヶ月で20万円くらい。タイはジム代が一番高くて、それだけで月13万くらいしました。

13万円!かなりの値段ですね

タイガームエタイは、働いているのはタイ人だけど、練習しているタイ人はいないんですよ。全員海外から来た人で。そういう練習に来る人や観光客をターゲットにしているおかげで、その一帯はうるおっているんですよ。ムエタイそのものが観光資源になるので。いくらジム代が高くても食べ物とかは安いからみんな来るんですよね。

ちなみにロシア人がよく来るのは、ロシアにとってタイはビザなしで入れる国だかららしいです。ロシアは入国にビザが必要な国が多いみたいで。

そうなんですね、それは知りませんでした。では続いてブラジル、アメリカ渡航時の費用を教えてください。

自炊したブラジルでの食事

ブラジルは、アメリカへの渡航費も含めると三ヶ月で60万円くらい。飛行機代は全部で20数万円くらいでしたかね。

で、2回目のアメリカに行った時は三ヶ月で30〜40万円くらいでしたね。飛行機代は12万円くらいで。デイジーフレッシュは食べ物とかプロテインがけっこう送られてくるんですよ。あと食べ物は近くの教会で買ったり。それとフジBJJのスタッフで生活費を稼いだりもしていたので、案外そこまでかかりませんでした。ちなみにフジBJJのスタッフは一日働くと200ドルくらい、日本円で言うと当時だったら23,000円とかが稼げましたね。あとはずっと自炊していたのでそれも費用を抑えられた理由だと思います。外で食べると高くなっちゃいますからね。とにかく、まぁクソみたいな生活していたので(笑)

で、帰ってきた頃には貯金が30万円くらいしか残っていませんでした。それで仕事探さなきゃ〜となって今(トライフォース東中野)に至るっていうのは(インタビュー前編で)言った通りです。

充分な蓄えがあったおかげで何度も修行の旅に出ることができたわけですね。ちなみに英語は話せないとも仰っていましたが、そういった言語面での心配はなかったのでしょうか?

心配で言ったらなんなら全部心配でしたよ、言語以外も。タイは初海外だったし、ブラジルに行くときなんかは殺されたりしないかなとかめっちゃ心配しました。でも行って思ったのは、そんなことを心配しても意味がないということですね。結局行ったらどうにかなるじゃないですか。だからアメリカ行った時はもうなんとも思わなかったです。と言っても内心ちょっと心配でしたけど、やっぱり行ったらどうにかなるでしょって言う感覚もありましたね。今はスマホもあるし。だからそこまでナーバスにはならなかったですね。

では、どうにかなるマインドで行ったと。

まぁ全然どうにかなっていなかったですけどね(笑)言語に関してはスマホを使って、あとはちょっと知っている単語話してって感じでした。DeepLが最高でしたね。翻訳アプリなんですけど、これが一番正確なんですよ。スラングとかもわかってくれるんで。

ちなみに勉強したり、もっと準備してから行こうという考えにはならなかったのでしょうか?

いや、勉強できる人はこうはなってないですよ。自分の場合勉強したくなかったしできなかったからそういう仕事ばかりして、嫌な思いもして、でも楽しいものにありつけたからそうしようってなっただけで。なので勉強できる人はもっと考えてもいいんじゃないですかね。

「知らんけど。」ってやつですね。

はい、そこは知らんけどですね(笑)でも例えば勉強一年してから行きますだったら、じゃあ今行けよって思います。絶対そう。今行きたいんだったら絶対今行った方がいいぞと。だってこの先何があるかわからないじゃないですか。コロナがあったり、戦争だったりがあるかもしれない。なんなら明日車にひかれるかもしれないですしね。

思い立ったならすぐ行けと。

そうですね、だからそのうち行きたい、何年後、何ヶ月後に行きたいなんて言っている人がいたら、「何言っているんだろう、早く行けばいいのに。」と思っちゃいます。思い立ってから二週間くらいで行けるじゃないですか、遅くても。日本人しかいなくて日本語しか話さない環境にいるより、あっちでやった方が身になるんじゃないですかね。自分はやってないからそこまで言えないかもしれないけど。あとは、ぶっちゃけ柔術やるんだったら言葉はいらないなって思いましたね。

そこが柔術のいいところですよね、言葉が通じなくてもコミュニケーションができると言うか。

そうそう、それでお互いリスペクトもあるし。言葉はいらないですね。

各国の印象と日本との比較

ブラジルの子ども達と

では、訪れた3カ国でそれぞれ印象に残っていることは他にありますか?

そうですね、柔術よりも生活している環境とかで印象に残ることが多かったですね、特にブラジルは。スラム街の近くに住んでいたので、日本っていう裕福な国の生ぬるな環境で俺は20数年間も生きてきたんだなって思いました。本当は柔術メインで行ったんですけど、まぁ人生観変わったというほどじゃないですが、そういう勉強ができてよかったなとは思いましたね。やりたいことをしにいったんだけど、まさかそんなことまで勉強になるとは思っていなかったので。やっぱり行ってよかったなと。ブラジルに関してはそう思いましたね。

あとタイは、すげぇ楽しい国だなって思いましたね。あとなんとなくこの国に日本は抜かれるんだなとも思いました。発展のスピードとか、勢いがすさまじいなと思いました。長期間滞在して変化する様子を直に見ていたというわけでもないんですけどね。うまく言葉にできないですけど、何かエネルギーが違うというか。例えばタイガームエタイの近くは格闘技だけをしている人が集まっているから、その通りだけエネルギーが違う感じがするんですよ。熱量というか。そういうことが他の場所でも、例えば観光地だったら観光地でそういうことが起きていて、他の分野でもそうで。日本ではそういうことあまり感じられなくないですか?むしろみんなちょっと下を向いているような感じというか。

今から伸びていくぞ、っていう感じですかね、タイの場合は。

そうです、だからタイガームエタイの周りだったらもう意識高いやつしかいなくて。朝起きたらみんな走っているんですよね、その通りを何人も。みんな体もしぼれて腹筋も当たり前にわれているし。だからそれを見て、あ、環境ってこう言うことなんだなって思いましたね。そこにいれば勝手に同じレベルにまで持っていかれるじゃないですけど。だからタイにいたときは環境って大事だなって思いましたね。

悪い環境でめちゃくちゃ頑張るよりも、良い環境でそこそこ頑張った方がいいんだなってすごく思いました。たぶん、これは間違いないと思います。柔術だけの話じゃないですけど。

なるほど、なかなか確信づいた気づきかもしれません。そういった気づきはアメリカでもありましたか?

アメリカは、柔術のマーケットが凄まじいなと。特にグラップリングは超置いていかれていると思います。技術とか選手じゃなくて、試合がたくさんできる環境というか、常にお金につながるようにうまく設計されています。ラッシュガード一つとってもめっちゃあるし。よく回っていますよねお金が。

なるほど、お金が生まれる仕組みができていると。

そうです、まさしく。

それはタイやブラジルでは感じられなかった部分でもあるのでしょうか?

全然感じなかったですね。いいなって思いましたアメリカ。日本もこうならないかなと。

おもしろいですね、各国感じられることが全然違くて。

まぁ行った目的が違うからというのもあるかもしれませんね。二度目のアメリカはちゃんと柔術をしにいったから。タイやブラジルに行ったときとは視点が違っていたと思うんですよね。

なるほど、確かにタイやブラジルは観光目的もあったためか、特に生活面に目が向いていたのかもしれませんね。

そうですね、だから一回じゃなくて行けるなら時間をあけて何回も行っていいと思います。そのときの環境だったり考えによって過ごす旅の目的や視点も変わりますからね。同じ場所でも違うものが見えるようになると言うか。

アマゾン川の夕陽

確かにそうかもしれませんね。そんな坂野さんはまた海外に旅に出たい気持ちはあるのでしょうか?

めっちゃ行きたい(笑)今すぐにでも。またデイジーフレッシュに行きたいなーとも思うし、違う場所にも行きたいなーとも思うし。なんだろう、次行くなら中央アジアとかにも行ってみたいかもしれないですね、カザフスタンとか。あと、アフリカとか。未開拓な感じもしますし。まぁでもアメリカはアメリカで何回も行きたいですね。

一度行ったところでも何回も行きたくなるものなんですね。

自分が見たのはもう何年も前だし、全然変わっているとは思いますよ。(変化の)動きが早いですやっぱり。

それはやはり日本では感じられないようなものでしょうか?

んー、なんだろう、爆発力がすごいって感じですかね。上にも下にも。大きく下がって大きく上がるみたいな。日本は一定でスーッて感じで上がり下がりがわからないような感じだけど。まぁ勝手なイメージですけどね。

逆に日本が勝っているところは?

きれいさ。ここに関しては負けていないどころかボロ勝ちです(笑)あとはやっぱり日本は便利ですよね。ブラジルにいたときなんて一週間洗濯機がなくて手で洗っていたりもしたので。初めて柔術着を手で洗いましたよ(笑)

あとは柔術的なことで言えば、選手の技術は負けていないと思います。ここについては自分が対して言えることではないのかもしれないですけどね。日本人のトップ選手もだし、トップじゃなくてもそれに続く人たちって、みんなうまくないですか?あっちはトップ選手とか強い人は強いけど、それ以外はそうでもないみたいな感じでしたから。

では、日本は平均値が高いと。

そうそう、そんな感じがしますすごく。

なるほど、すごく日本って感じですね。

そう、性格が出ているのか。「それなりにうまくできる人」が多いですよね。

ちなみにブラジルは魔窟という話もありましたが、そんなブラジルに対しても日本人の柔術の技術は負けていないと言えるのでしょうか?

んー、どうなんでしょ。やっぱりあっちの人はでかいし勢いでやっている人も多いと思いますよ。身体能力とか。まぁそこはわからないですけどね。

日本人は研究熱心だったりしますもんね。技術を探求するという点は負けていないのかもしれません。

そうですね、ただ日本人は技術に対する探求心はあると思うんですけど、スケジュール管理とか、いわゆるどう効率化するか?みたいなところに関しては探究心がないんですよね。アメリカ人はそこに探究心があって、いかに効率性を上げるかを重視しています。なのでかなり合理的なんでしょうね。この練習は必要かどうか、ここは休むべきかやるべきか、みたいな。

確かに、日本人は時間を考えずとりあえずやり込む性格を持っている気がします。残業マインドというか。

そうですね。残業と一緒かと。

“体感”できるからこそ旅に出る意味がある

話しを聞いていると、柔術以外のところで学ぶこと、気づくことが多かったような印象を受けます。

そうなんですよ、柔術をしに行ったんですけど、他のことで学ぶことの方が多かったと思います。柔術は柔術で学ぶことはありましたけど、さっき言ったようなことしかないですね。

柔術を通してと言うより旅を通して学ぶことが大きかったと。

はい、だから旅はした方がいいなと思いますよ。特に今の時代は。まぁ全部に言えることだと思うんですけど、例えば柔術だったらテクニックはYouTubeの動画を見てやってできる気になるじゃないですか。でもやっぱり現地に行って学んだ方がいろんなことがわかると思うんですよね。たぶん今多くの人が「教則で見れるからいいや。」って思っているんでしょうけど。

たしかに教則があるからいいやとは思ってしまいます。

そうですよね。ただ、黎明期の人たち、それこそ中井先生や早川先生は実際にブラジルに行っていたわけじゃないですか。実際に身を運んで得たものがあるからやっぱり強いじゃないですか先生たちって。小林先生もそうだし。他の先生たちもそう。やっぱり強いですよねそういう人たちは。

情報として得るだけでなく、体感しているからですね。

体感、そうそれです。それが大事だなと思いました。動画や教則でインストラクションをするその人一人だけじゃなく、そのジム、そのエリアとか、その人の柔術を取り巻く環境全体を体感できるのはかなり大きいんじゃないかなと思いましたね。

それが旅の効用というか。

間違いないですね、現地に行くっていうのはそういうことなんだなと思いました。体感できるから行くっていう。もちろん行ったから強くなるとは限らないし、なんなら数ヶ月行っただけでは正直そんなに強くはなれないと思いますよ。とにかく行けば強くなれるっていうのはないと思います。でも得られるものは大きい。行って強くなれるかどうかはもうその場所との相性なので、合わない人はずっと同じ場所でやっていた方がいいとは思いますけどね。

それでも、一度は出てみた方がいいということですね。

出た方がいいです。

これから海外修行をしたい人に向けて

では、海外修行をしたいという人は他にもいるかとは思いますが、そんな人たちに向けて伝えることがあるとすれば、先ほど言っていたように「行きたいならすぐに行け」というところでしょうか。

そうですね、やっぱり行きたいならすぐに行った方がいい。

あとは、行って柔術が強くなるとは限らないし、海外行ったら人生観が変わるって言うのは僕は嘘だと思っているので、行って終わりじゃなくて行ったあとがんばれというところですかね。

よくいるじゃないですか海外行って人生観変わったみたいな人。でもそれは海外行ったからじゃなくて、そこで普段会わない人や出来事に遭遇したり、いろんな挑戦をしたり、人に助けられたりという経験をしたからであって、それはその人がある程度いいことをしていないと返ってこないと思うんですよね。だから単に行くだけじゃダメだと思っていて、行ってからどうするかだと思うんですよ。

そういう意味でも、行くならもうすぐ行けと。で、ただ行くだけではどうせ何も変わらないから、とりあえず行って、行ってからのことに時間をかけてがんばれよと。それは、帰ってきてからどう消化するか?というところもそうで。それがけっこう大事だと思っています。それが自分の場合あまりうまくなかったから。もうちょい上手く消化できたんじゃないかなって思いますね。なんならまだ消化中だと思います。ちょっと日が経っているからもう遅いかなと思っていたりもしますけどね。

だから、行くのがゴールではなくて、帰ってきて活かすまでやってゴールですよね、本当は。

なるほど、ご自身では帰ってきてからうまく消化できなかったと思われているとのことですが、先ほどの“JJJ”の考えなどは疑問を持って帰ってきた上で見つけた一つの答えなので、一つ消化できた部分なのではとも思います。

まぁそうですね確かに。運やタイミングが良かったなとは思いますね自分でも。

ちなみにご自身が思われている「うまく消化できなかった」部分というのは具体的にどんなところでしょうか?

自分にちゃんと落とし込めていなかったというか。練習の仕方とか、意外とちゃんと落とし込めていないなぁと。ちょっとは取り入れたんですけど、もっと取り入れられる部分はあっただろうなというか。結局今まで通り(海外に行く前)の練習をしちゃっているなと言う感じです。

では、結果としては先ほど言っていたように、海外に行ったことで大きく変わるものはなかったと。

そうですね、だから、海外行ってつかめることってほんとちょっとなんだなって思いました。でもそれを得られることはでかいっちゃでかいとも言える。だから何回も行った方がいいと思います。得られるものは思っているほど多くはない、だけど大きいことかもしれない。だから行った方がいい。何回も。

…矛盾してますねなんか。まぁ結論、そんなに変わらないけど、日本では体感できないことを体感できるのは間違いないので、行った方がいいよとは思いますけどね。

得られるものは多くはないけれど、それは日本では得られないものであるということですね。

まぁ、そうかもしれない、って話です。柔術に関してはそこまで得られるものは多くはないし大きくもないかもしれないですけど、それ以外のことで得たものは自分の中では多かったので。望むものかどうかは別として少なくとも得られるものはありますよね。確証はないけれど。そこは自分次第じゃないですかねやはり。

では、坂野さんにとってはやはり旅の部分で得たものの方が大きかったと。

そうですね、大きかったです。だから柔術としては思っているほど強くなれないかもしれないけど、人間としては強くなれるんじゃないかなと思います。ならざるを得ないというか。海外生活はいいストレスがかかるので。まぁ自分の場合はあの環境だったこともありますしね。あとはやっぱり旅には絶対トラブルがつきものですし、予想外のことが起こったときにどう対処するかが楽しいですよね。そういった部分で成長できるとは思います。

楽しめたら良いですが(笑)

いやもう楽しむしかないんですよ。そういうマインドじゃないと。普通に生きていても予想外のことって普通にあるじゃないですか。それに対応する練習になって楽しいですよね。何事にも動じなくなりますよ(笑)そういった意味で成長はできるんじゃないかと思いますね。

今後の目標について

では、今まで積極的に海外に出ていくなど“思い立てば即行動”してきた坂野さんですが、今後の目標、やりたいことなどはありますか?

そうですね、とりあえず大会で優勝したいです(笑)

全日本優勝できるようにがんばります。

インタビューを終えて

坂野さんがトライフォース東中野に来る前にアメリカにいたことは知っていましたが、タイやブラジルにも渡り濃密な柔術ライフを送っていたとは知りませんでした。

話を広げてみるととてもボリュームのある濃い体験をされてきたのだなと思わされるばかりでしたね。

また、坂野さんが行き着いた“日本柔術(JJJ)”の姿は、3ヵ国を渡り歩き今トライフォースに所属している坂野さんだからこそ気づくに至った答えであり、取材しながらとてもおもしろいなと思いました。

まだまだ話したりなさそうなところもあったので、気になる方はぜひ坂野さん本人に聞いてみてください(笑)

坂野開さんのSNSアカウント

坂野さん、インタビューのご協力ありがとうござました!

今後のご活躍を楽しみにしています。

著:中澤 朋子
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柔術が精神面に及ぼすプラスな影響についてつづられた書籍。PART5:現役柔術家インタビューで坂野さんのインタビューが掲載されています。


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この記事を書いた人

Yoshiのアバター Yoshi 筆者

ブラジリアン柔術歴6年。現在紫帯。
21歳のときに地元福井でブラジリアン柔術を始める。その後は国内外を転々とする中で各地のジムに所属し大会に出場。現在は東京を拠点に日本各地に赴き大会出場及び出稽古を重ねる。

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